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サウンドシャキットを使って、純正フロントスピーカを念願の4チャネル化に変更する

DIYに関しては全て自己責任の範囲でお願いします。
ディーラに迷惑を掛ける質問、行為はご遠慮ください。


サウンドサイエンス社からサウンドシャキット対応スピーカ「S16F」が販売されました。
締まった低音と綺麗な中高音を聞きながら2週間。 エージングが効いてきたのか、低音量が増えてきました。
私のシステムでは、後部席のスピーカから音が出ないよう、メインアンプのフェーダーで殺しています。
しかし、シャキットの外部入力(MD入力)を使うと、メインアンプのフェーダーが使えず、後部スピーカが生き返ります。
後部スピーカにどんなに良いスピーカを充てても、ライブ会場の雰囲気にならないばかりか、耳障りでしかありません。
皆さんも一度、後席スピーカを殺して1週間程度音楽を聴き、耳が慣れたところで後席スピーカを復活させてみてください。 その「異常音場」に気が付くはずです。

そのようなことから、前席だけの素晴らしい音場をもっと良くしようと、前々から考えていたことがあります。
それは今回のテーマである「フロントスピーカの4チャネル化」で、
左右のドア(メイン)スピーカで1チャネル毎、左右の純正ツィータで1チャネル毎の合計4チャネル
と、サウンドシャキットからの出力を全て独立して供給する方式です。
S16F取付け後の緩みなどを調べるためにドアの内張りを剥がすので、ついでにこの作業をやってしまいました。

結果は大満足!
今後、左右のメインスピーカ音量調整、メイン、ツィータの音量調整、カットオフ周波数調整、サブウーハーへの展開... などが考えられますが、 これらはマニア向け?なので、私はこのままでいるでしょう。



難易度 ★★★☆☆
作業時間 3時間
費用 1,000円程度




スピーカの4チャネル化とは

サウンドシャキットは車種別接続キット(ピンクの部分)にて、メインアンプとハーネスとを繋いでいます。
メインアンプの出力をサウンドシャキットで受け、減衰させた音をサウンドシャキットの音として増幅・出力し、ハーネスに伝えます。
ハーネスでは、前後スピーカに各々2チャネルづつ音が供給されます。

なお、ツィータはメインスピーカのハーネスを使い、途中で分岐してメインスピーカとツィータに分かれていきます。
これを4チャネル化するには、ドア左右のメインスピーカとツィータ各々から2ペアのケーブルを4本引き(赤い線)、サウンドシャキットの接続キットに直接繋ぎます。
したがい、既存ハーネスは使わないのと、後席スピーカも使わなくなります。

音声ガイドに問題が!

作業前にエスハイの回路図を見ていて気が付いたことがあります。
スピーカ用のハーネスを使わなくなると、NAVI、ETCなどが発する「音声ガイド」が右ドアスピーカから聞こえなくなるのです。

その理由は、現状のハーネスが右のような回路を通っているからで、ここで注目すべきは「フロント右」スピーカに行くハーネスです。
ラジオレシーバASSY(ワイドマルチAVステーション)から出た音は、NAVIに入り、バックガイドモニタECUを経由してスピーカに繋がっています。
このようにして、アンプから出た音楽に各種機器から出た音声を混ぜてやり、その結果、音声が入るときには自動的に音楽を低くし、右側スピーカから音声ガイドが明瞭に聞こえるよう制御しています。
しかも、音声ガイドの音量はラジオレシーバASSYの画面で設定することで、希望音量になります。

実に良く考えた仕掛けですが、これがDIYの盲点になりそうで、「上手くやったけど音声ガイドが出ない」という現象が出そうですね。


対策は?

音声ガイド専用スピーカを別に付けるか、新たに引くスピーカコードのスピーカ端子に既存ハーネスを接続し、音声ガイドを得る、等々を検討しましたが、マイナス部分だけなので諦めました。

各々のマイナス部分はここでは説明しませんが、実験であってもやらない方が賢明です。
試行錯誤の結果、最終案は右側スピーカだけ既存ハーネスを使うことにしています。


サウンドシャキットの接続キットを確認しておきます。

左のように2種類のハーネスが用意されており、コネクタのメス側をラジオレシーバASSYのコネクタへ、オス側をスピーカハーネスコネクタに繋ぎます。

ギボシが付いたケーブルは、サウンドシャキット側の専用ハーネスと接続しますが、車種、アンプによりハーネス形状が異なるため、この車種毎の接続キットで対応しているのです。
これはエスティマ系の接続キットの配線説明書です。

この中で灰色の部分が車両側のスピーカハーネスに繋がる部分なので、この接続を新たに引き直すスピーカケーブルに接続すれば良い事が分かります。

しかし、先の説明のように右側スピーカ(FR)については既存ハーネスを使うので、薄緑部分の配線は繋いだままにします。

補足ですが、記号の
  FR:フロント右
  FL:フロント左
  RR:リヤ右
  RL:リヤ左
のスピーカに繋ぐことを意味しています。
このDIYとは関係ないですが、
サウンドシャキットのアースは何処が良い?という質問を度々受けます。

私は何人もの方(エスハイ、エスティマ、アルファード、イプサム)にサウンドシャキットを取付けた経験から、ワイドマルチAVステーションのボディーのネジ(緑の矢印)が一番と話しています。

ただし、このネジは大変硬く締まっており、プラスネジが切ってあるからとプラスドライバーで回さず、必ずレンチを使って緩めます。
もし緩まないようなら、赤い矢印部分のネジに共締めしても結構です。(これらの場所で、ノイズ等に悩まされた経験はありません)




〜〜〜 さて、ここからがDIYです 〜〜〜

内張りを剥がした運転席側のドアパネル

ドアの左側に、スピーカ「S16F」が見えています。
インナーパネルはデッドニングしていますが、右側の黒い部分はデッドニングテストをしている場所なので、内容を皆さんに見せたくない部分です(笑)。

ドアの内張りを外す作業はここを参照してください。

内張りを剥がす作業は慣れると10分程度ですから、是非覚えましょう。
以下の作業はスピーカ用の穴を使って作業するので、付いているスピーカを外します。


最も厄介なドアのジャバラを確認します。

新に引くスピーカケーブルは、ボディーとドアを繋いでいるこのジャバラ内を通さなければなりません。
下左の写真はボディーとドアの隙間に鎮座するジャバラ。 下右の写真はスピーカ穴から覗き込んでドア内部のジャバラ(赤い矢印部分)を覗いた様子です。

これまで、その内部に何も通していなければ、ここで説明する簡単な方法で通すことができますが、既にDIYで何本かの配線を通している場合は、その配線が邪魔をして結構面倒な作業です。
まあ、配線を通しているならジャバラ内部の通し方は分かっているはずなので、この説明を飛ばしてください。

 

では、初体験の方向けに説明します。
ジャバラはボディー側とドア側で各々固定されており、ジャバラの内部が部分的に狭くなっている事、ボディー側でジャバラとハーネスがテーピングされている、などの理由から、この状態のまま配線を通してしまおう、と考えないでください。(一見できそうですが、不可能に近いです)

過去のDIYで「カーテシランプ(前席ドア下部ランプ)の取付」の際に、ジャバラ内部にケーブルを通しているので、先ずはそちらを参照してください。
http://www.nrs-net.co.jp/~nrs110/estima/hybrid605.html

このようにして、ジャバラを完全に外してボディー内部に引き込んでしまうか、逆にドア内部に引き込んでしまうと、配線通しが楽になります。
とにかく、ジャバラが完全にフリーの状態にならないと、この作業は死ぬほどイヤですよ。


ジャバラのボディー側のハーネスはコネクタになっていて、近くのコネクタに刺さっています。
これを抜いて作業するのがポイント。 コネクトされたままだとジャバラが移動しないので、必ず外してください。
 


新たなスピーカケーブルを通します。

「スピーカケーブルを太くしたり、価格の高いケーブルにすると劇的に音が良くなるよ!」という方はそれなりのケーブルを用意します。
気にしない方は太さ0.7〜1.0スケア程度のケーブルを用意します。

メインスピーカとツィータで色を分けておくと分かり易いので、色違いのペア線を、片側各々3mの長さを用意します。

フロント運転席側のスピーカラインは、純正ハーネスを使うので不要ですが、今後のことを考えて一緒に引いてあります。 (音声ガイド無し車種の参考にしてください)


スピーカケーブルをドア内部から出す。

ドア内部に引き込んだスピーカケーブルは、下がってくるガラスに干渉しないよう、ドア内部にあるハーネス群にテーピングしてゆとりを持たせます。
ゆとりが無いと、ケーブルがガラスに押されて切れます!

ゆとりを作ったら、ケーブルはスピーカ穴の下にあるゴムブッシュから引き出しておきます。
(この写真は、過去にデッドニングしたブチル板を無理やり抉じ開けたので、無残な姿です)。


ケーブル末端の処理。

この時点まできたら、メインスピーカのバッフル板を確認し、緩んでいたら固定し直します。
バッフル板にある「ケーブル用の溝」にケーブルを通し、その先にギボシを付けておきます。

この写真ではスペーサが「仮」に付いていますが、実際にはスピーカと一緒にスペーサを付けることになります。

ツィータは、その端子に来ているハーネス線をハンダ鏝にて外し、新たな線をハンダ付けします。
端子にコテを長時間当て、熱くし過ぎたり、ハーネスを剥がそうとグリグリ回すと、100%の確率でツィータから音が出なくなります。
ハンダ処理で、端子に来ているツィータコイルが切れてしまうのです。


ワイドマルチAVステーション側のケーブル処理。

 

上左の写真は、FRの配線は既存ハーネスを使っていることを示す(赤い○)もので、他の線にはまだ何も繋がっていません。 (音声ガイド無しのクルマは、新たに引いたケーブルに繋ぐので、ハーネスとは繋ぎません)

上右の写真は新たなスピーカケーブルと、サウンドシャキットの配線キットを繋いだ物で、見やすいようにタオルを敷いています。
赤い矢印はフロント助手席側に行くケーブルで、赤/白線がメインスピーカ、青/白線がツィータに行きます。
青い矢印は運転席側のツィータに行く線で、青/白線を使っています。
青い○は、運転席側から引いてきている予備線で、何も繋ぎません。(音声ガイド無しのクルマは繋ぎます)
赤い○は、本来は既存ハーネス側の後席に行く配線ですが、ここも繋ぎません。

この状態で必ず試聴し、各々のスピーカから確実に音が出ているか確認しましょう。
また、純正アンプのフェーダーを使い、音がフェーダーで指定したよう変化するかも確認します。
勿論、音質についても変化させて確認します。

運転席側のスピーカラインに既存ハーネスを使ったことで、外部(MD)入力で音楽を聞いていても、音声ガイドが入ると自動的に音楽をミュートするので、ガイドが聞き易いというメリットがあります。




音を楽しむより、音楽を音楽として楽しむリスナーであり続けたいと考えています。

フロントスピーカの4チャネル化は、ある意味で「気休め」かもしれません。
時々、「同乗者全員が最上のリスニングポイントでありたい」と聞きますが、そんなことは絶対にありえないことで、オーナーである運転者が一番のリスナーなのです。
それを目標に、個々のスピーカが完全に独立したことで、リスニングポイントを運転席に置いた微調整が可能になるのが4チャネル化です。

サウンドシャキットの入力を純正アンプから得ず、外部(MD)入力にすると、左図のように全ての機器がダイレクトに接続されます。
これは音質に対して効果大で、CD、MDチェンジャーやスピーカに良質の物を使うことで、素晴らしい音になります。
 
また、この例を応用するなら、新たに引いた配線を利用したサブウーファ化、追加アンプ化など、面白い展開も考えられるでしょう。

今、世の中の流れは5.1CH化に向かっているそうで、それが高級志向としてカーオプションでも用意される状況になっています。
しかし、映画を見るならともかく、音楽を音楽として聞くには全く不要と考え、あえてフロントスピーカだけにしました。
所詮はオーディオ条件の悪いクルマの中で聞く「音楽」です。
ある所は割り切り、人の意見に流されず、自分の信念を持った音作りをしていきたいと考えています。


補 足
運転席側から引いてきたケーブルで未使用の物があります。
このケーブルはインパネからドア内部まで貫通しています!
うーん、何かのDIYに使えそうですねぇ。




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